2010年9月29日水曜日

延着証明書と労働賃金

こんばんは。
税理士の山脇です。

今朝、通勤途中にある某駅で、人身事故が発生したため
電車がかなり遅延しました。

駅の改札で、駅員さんが配っていた延着証明書を、前を
行く人の流れのまま、私も受け取ることに。

延着証明書とは、その名のとおり、遅延のみを証明するものです。
よって、遅延により損害が生じても、それを賠償してもらえるもの
ではありません。

今日もらった延着証明書をよく見てみると、今日の日付にパンチは
されていますが、一番肝心であろう、何分延着したのか、いつ証明
されたものかが書かれていません。
結構、アバウトなものなのですね。





さて、この証明書、会社に提出するとどうなるのでしょうか?
たいていの会社では、「電車が遅れて大変だったね。」ぐらいで
終わるのではないでしょうか。

故意ではなく、不可抗力な事象によるものなので、現実的には
遅刻していないものとみなされるのです。

しかし、そんな寛大な会社ばかりではないかもしれません。

例えば、普段の勤務時間が9時から17時までで、遅れた時間が
1時間だったとします。

たとえ、不可抗力な遅刻でも、遅れた分を補うため、10時から
18時まで勤務しなさいと言われるかもしれませんし、あるいは、
遅刻となった1時間分の賃金をカットされるかもしれません。

このような扱いを受けたら、きっと「なんで?」となるでしょう。

しかし、就業規則に、このような場合、遅刻としての取り扱い
はしない旨の記載があるのに、遅刻として取り扱った場合には、
事業主の違反になるのですが、就業規則がない場合には、
法律上、事業主の違反には当たらないのだそうです。

賃金は、働いた分に対して支払われるものです。
延着証明書を提出して、不可抗力だったことを示しても、
遅刻扱いになる可能性があり、不服があれば、民事で
争うことになってしまうのです。

ちなみに、過去の判例等で、このような事例は探しきれませんでした。
金額にして僅少であり、争ってまでとはいかないのかもしれません。
また、事業主側から見ても、あえて従業員さんのモチベーションを
下げる必要はないですしね。

10分前精神とよく言います。
何が起こるかわかりませんので、早め早めの行動を心がけたいものです。

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