2010年11月1日月曜日

銀二貫

こんにちは。
税理士の山脇です。

今朝、ネクタイを締めつつ、小さな驚きがありました。

ついこの間までの猛暑に耐えた日々から一転して、
冷たい秋風に身が縮こむようになったと思っていたら、
早や11月なんだと・・・。

時の流れの速さに思いを馳せつつ、スタンド型の
カレンダーを入れ替えて、家を出てきました。

さてさて、本日は読書のお話です。
久しぶりの感動作品を紹介します。

2008年に時代小説作家としてデビューされた、
高田郁さんの 「銀二貫」、商人をテーマにした作品です。

時は安永7年、徳川10代将軍家治の頃の時代設定で、
寒天の卸しを商いにする大坂の小商人が、取引先からの
帰路、仇討に遭遇し、苦心の末に工面してきた銀二貫で
仇討を買うところから物語は始まります。

寒天卸商の主、和助に拾われた松吉(討たれた武家の子息)
が、侍の子から商人へと成長する中で、幾多の災難に遭い
ながら強く生きる様と、一途な愛を育むストーリーです。

また、タイトルである銀二貫、これは、火災で焼失した天満宮
再建のための寄進のお金でした。

寄進に向けてこつこつ蓄える、まさに商人の血と汗の結晶の
銀二貫、これがキーワードとなり物語にちりばめられており、
展開の豊かさに熱いものが込み上げてきました。

松吉の誠実さ、素直さ、諦めない前向きな気持ちに涙し、
主、和助の、商人の大事は、己に対する信用より暖簾に
対する信用であると説く商人魂や天神さんへの信仰の
深さに感動しました。

ところで、「銀」という貨幣ですが、江戸時代、「大坂の銀、江戸
の金」といわれるように、流通貨幣を異にしていたようです。

銀は重さで計り、「丁銀」「豆板銀」と呼ばれ、金との交換は
相場により行われていたのだとか。
物語の銀二貫は、ざっと金33両なのだそうです。

10月27日から11月9日までは読書週間。
お薦めの一冊です。

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